森と森林公園(首都圏)
東高根森林公園の"森”
シラカシ林
南口パークセンターから公園に入り、広い園路でケヤキ広場を通り、その後やや右手の木桟道を湿性植物園に入ると、左手にシラカシ林観察路があります。これを登って古代芝生広場に出るまでが、シラカシ林の観察スポットです。
(東高根森林公園の解説版より)
はるか昔の風景
はるか昔に、人の影響が及ぶ前はこの地域の環境に最も適した植物が共存しあい、安定した状態で林をつくっていました。それを「原植生」といいます。関東地方の丘陵地のほとんどはシラカシなどの常緑広葉樹で覆われていました。
多くの地域からシラカシ林が消えた理由
常緑広葉樹が広がる地域は、気候にも恵まれているので、多くの人が住むようになりました。
やがて、シラカシ林のほとんどは、田畑や居住地として切り開かれたり、薪や炭の原木や、生活用材を得るために、雑木林につくりかえられました。
東高根森林公園には神奈川県の天然記念物に指定されている貴重な「シラカシ林」が保存 されています。また、東高根森林公園には人が育てた半自然林(二次林)であるコナラやクヌギなどの雑木林も見ることができます。しかも、「森の遷移」の過 程がみられる二次林の変化(シラカシの侵入)をも見ることができます。
クヌギ・コナラ林
パークセンターから公園に入るとすぐに左側に階段があり、道標は「ピクニック広場へ」となって います。この階段を登っていくと、早速コナラやクヌギが出迎えてくれます。階段を登り切ったところがピクニック広場です。階段を上がってから振り返れば、 階段の右側がピクニック広場の南斜面です。ここはコナラ、クヌギ、ヤマザクラなど里山ではおなじみの雑木林(人の手が加わった二次林)です。
(東高根森林公園の解説版より)
この林は二次林です
この林は一般的に、クヌギーコナラ林などと呼ばれています。これは古代芝生広場の回りの斜面でみられるようなシラカシ林(自然林)などを、人間が伐採したり、火入れをして破壊した跡に二次的に生育していることから二次林と呼ばれています。
この林のつくり
この林は、左の図(省略)のように一番上(高木層)にコナラ、クヌギ、エゴノキ、イヌシデ、ヤマザクラなどの高い木が林をつくっています。その高い木の下には、リョウブ、ヒサカキ、カマツカ、コゴメウツギ、アオキ、ムラサキシキブ、アズマネザサなどの亜高木・低木、シラヤマギク、ヒトリシズカ、ヤブコウジ、ジャクノヒゲ、アキノキリンソウ、ニガナ、サルトリイバラ、ホウチャクソウなど多くの草花が見られます。
この林はこれからどうなるのか?
この林は、人間が定期的(15~25年くらい)に伐採したり、下草刈りをしている間はずっとこの林のつくりのままで、代わりません。しかし、何年(数10年~数百年)もそのまま人間が下草刈りや伐採をしないでいると、シラカシ林(自然林)になっていきます。シラカシ林は本物のふるさとの森と呼ばれるのでしょうか。その答えは、古代芝生広場にある解説版「ふるさとの森・シラカシ林」を見に行って確かめてください。
クヌギ・コナラ・ヤマザクラなどの林にシラカシが進入している林
(ピクニック広場北斜面)
ピクニック広場の南斜面を見終わったら、反対側の北斜面を見てください。そこにはコナラ、 クヌギなどの高木に、シラカシの低木が混じってきています。ここは南斜面が雑木林(二次林)であったのに対し、人の手が加わらなくなったため、シラカシの 進入が始まっている林です。森の遷移が始まっているのです。
クヌギ・コナラの高木が細いいシラカシに取り囲まれている林
(シラカシ路)
湿性植物園に入る手前、四阿(あずまや)の先に「シラカシの道」があります。ここでは古代芝生広場の南斜面を下から見ることができます。そこにはコナラな ど高木をたくさんの細いシラカシの木が取り囲んでいる様子が見られます。ここはピクニック広場の北斜面よりさらに森の遷移が進んで様子が見られます。
クヌギ・コナラの高木とシラカシの中低木の二層の林
(ユリ園下)
パークセンターからの入口とユリ園の間のピクニック広場側では、上層にコナラやクヌギの高木が見られ、中層にシラカシがみられます。ここでも森の遷移が進みコナラやクヌギなどの中に、シラカシが育ってきている様子が分かります。
ユリ園下のピクニック広場側の森
上層の拡大写真(コナラ)
中層の拡大写真(シラカシ)